220系クラウンを中古車や新古車で探していると、必ずぶつかるのが「RS」と「RSアドバンス」のどちらを選ぶべきかという悩みです。
見た目はそっくりなのに、中古車価格を見ると数十万円の開きがあることも珍しくありません。この価格の差がどこから来ているのか、単なる見栄えの問題なのか、それとも毎日の運転に直結する機能の差なのかは、オーナーになる前にしっかり掴んでおきたいポイントです。
実際に詳しく調べてみると、この2つのグレードには「後から付け足すことができない決定的な装備の差」がいくつも隠されています。特に安全機能や車内の快適性に関しては、カタログを読み込まないと気づかないような細かな違いが積み重なっているのが現状です。自分のライフスタイルにとって、その差額を払う価値があるのかどうか、判断するための情報をまとめました。
クラウンRSとRSアドバンスの違いは?
この2つのグレードを見分けるとき、表面的なデザインだけで判断しようとすると少し苦労するかもしれません。どちらもスポーツ仕様の「RS」の名を冠しているため、バンパーの形状やマフラーの出し方は共通しているからです。しかし、一歩踏み込んで中身をのぞいてみると、トヨタがアドバンスに込めた「最上級スポーツ」としてのこだわりがはっきりと見えてきます。
アドバンスは装備の豪華さが際立つ
RSアドバンスは、その名の通りRSに先進的な装備を最初から盛り込んだ上位モデルです。標準モデルのRSではオプション扱いだったり、そもそも設定がなかったりする機能が、アドバンスには惜しみなく投入されています。
例えば、周囲の安全を確認するためのカメラシステムや、車内の音響を格上げするプレミアムサウンドなどはその代表格。正直なところ、RSにオプションを一つずつ追加していくよりも、最初からアドバンスを選んだ方がトータルで安上がりになるような設定になっています。
三眼LEDヘッドランプで見分けがつく
外観で最も大きな違いと言えるのが、フロントマスクの表情を作るヘッドライトの構造です。RSアドバンスには、鋭い眼光を放つ三眼LEDヘッドランプと、流れるように光るシーケンシャルターンランプ(ウインカー)が標準で備わっています。
これに対して、2.0Lターボなどの標準的なRSでは単眼のLEDが基本。夜間にライトが点灯した時の高級感は、やはりアドバンスの方が一枚上手です。道を譲ってもらう時や、サービスエリアで愛車を振り返った時の満足感に直結する部分と言えるでしょう。
室内シートの素材と快適機能の差
ドアを開けて車内に乗り込んだ瞬間に感じる空気感も、この2台では大きく異なります。アドバンスのシートは質感がしっとりとした本革が標準ですが、RSはファブリックと合成皮革を組み合わせた仕様が一般的。
特筆すべきは、アドバンスに備わるシートベンチレーション機能です。
- 夏の暑い日でも背中やお尻が蒸れにくい
- エアコンの風をシートから直接感じられる
- 長距離ドライブでの疲労感が劇的に変わる
一度この快適さを知ってしまうと、普通のシートには戻れないほどの魔力があります。一方で、RSのファブリックシートは滑りにくく、スポーティな走りを楽しみたい人には意外と好評だったりするのも面白いところです。
安全機能はアドバンスが頭一つ抜ける
安全に関わるアシスト機能の充実度は、アドバンスを選ぶ最大の理由になり得ます。後方を横切る車両を検知してブレーキをかける機能や、死角にいる車を知らせてくれるブラインドスポットモニターが標準装備されているからです。
車体が大きいクラウンにとって、これらのバックアップ機能は「お守り」以上の価値があります。実際のところ、狭い駐車場での切り返しや車線変更時のヒヤリとする場面を、車側が未然に防いでくれる安心感は計り知れません。RSでもオプションで選べる個体はありますが、中古車市場では付いていない車両も多いため注意が必要です。
財布に優しいのはどっち?価格と維持費を比較!
次に気になるのが、お金に関わる現実的な数字の話です。いくら装備が良くても、初期費用やその後の維持費に無理があっては元も子もありません。新車時の価格設定から現在の中古車相場、そして所有した後のランニングコストまでを冷静に比較してみると、選ぶべき1台が少しずつ絞られてきます。
新車時の価格差は50〜70万円ほど
220系クラウンが新車で販売されていた当時、RSとRSアドバンスの間には50万円から70万円程度の価格差が設定されていました。これは決して小さな金額ではありませんが、追加されている装備の内容を考えれば、むしろアドバンスの方が「お買い得感」があったとも言えます。
当時の購入層の多くもそのことを理解していたようで、実際に出回っている個体数はアドバンスの方が圧倒的に多い傾向にあります。自分なりに試算してみても、個別のオプション価格を合計すると余裕で差額を超えてしまうため、トヨタの戦略的な値付けを感じずにはいられません。
中古市場はアドバンスの方が高い
中古車として流通している現在の価格帯を見ても、やはりアドバンスの方が高値で安定しています。年式や走行距離が同じ条件であれば、30万円から50万円ほどの差がついていることが一般的です。
中古車価格を左右する主な要因を以下に並べました。
- 本革シートの有無によるリセールバリューの差
- 三眼LEDヘッドライトの見た目による人気集中
- パノラミックビューモニターなどの希少な安全装備
意外なのは、新車時の価格差が中古になってもある程度維持されている点です。つまり、買う時に高くても売る時にも高く売れるため、実質的な持ち出し費用は想像よりも少なくて済む可能性があります。
燃費や税金などの維持費は変わらない
初期費用には差がありますが、走り出してからかかる維持費については、両グレードで全く同じと考えて間違いありません。搭載されているエンジンやハイブリッドシステム、車重に大きな違いがないため、燃費性能に差が出ることはないからです。
毎月かかるガソリン代や、年に一度の自動車税、車検の基本料金などは共通の数字。強いて言えば、アドバンス専用のスパッタリング塗装されたホイールが傷ついた時の補修費用が少し高くつく程度です。維持費を気にしてグレードを下げる必要はない、というのが私の結論です。
どちらにするか決める3つの基準
自分にとってベストな1台を選ぶには、スペック表を眺めるだけでなく、自分の使い道を具体的にイメージすることが大切です。特に220系クラウンは、ドライバーが主役の車として設計されているため、運転中の感覚が何よりも重要視されます。迷った時に基準となる3つのポイントを整理しました。
1. 高速道路での運転支援が欲しいか
頻繁に遠出をする人なら、アドバンスに標準のレーントレーシングアシストや高度なブレーキ制御は外せません。渋滞時の中速域から高速走行まで、車がハンドル操作や速度調節をサポートしてくれるため、目的地に到着した時の疲れ方がまるで違います。
「運転は自分の手で楽しみたい」という人でも、帰りの渋滞でこの機能に助けられる場面は必ず出てくるはず。この支援機能の有無は、ロングドライブの快適性を左右する大きな分かれ目と言っても過言ではありません。
2. 夏場のシートの蒸れを解消したいか
日本の夏は年々厳しくなっており、車内の温度管理は切実な問題です。前述したシートベンチレーションは、単なる贅沢品ではなく「健康を守るための機能」に近いと感じます。
本革シートは高級感がある一方で、夏場は熱を持ちやすく、背中が汗でびっしょりになるのが欠点。これをアドバンスの吸い込み式ファンが解消してくれるメリットは非常に大きいです。ファブリックシートのRSならそこまで熱くなりませんが、それでも「風が通る心地よさ」には敵いません。
3. 将来的な売却価格まで考えておきたいとき
車を数年で乗り継ぐ予定があるなら、迷わずアドバンスを選んでおくべきです。中古車市場での評価は「RSアドバンス+本革シート+サンルーフ」という組み合わせが最強。
| グレード | リセールバリューの傾向 | 買い手のニーズ |
| RSアドバンス | 非常に高い | 全部付きを求める層が多い |
|---|---|---|
| RS(標準) | 平均的 | 安さを優先する層がターゲット |
| RS(OP多数) | 高め | アドバンス仕様に近いほど評価 |
このように、アドバンスというブランド自体が売却時の強力な武器になります。初期投資を抑えるためにRSを選んでも、売る時のマイナス幅が大きければ、結局はアドバンスの方が得だったという結果になりかねないのが、クラウン選びの難しいところです。
RSアドバンスにしか付かない装備と注意点
ここからは、よりマニアックな装備の差に踏み込んでいきます。アドバンスには「これがあるから選ぶ」という決め手になる装備がある一方で、特定のパワートレインを選んだ時にだけ発生する例外的なルールも存在します。後から「知らなかった」と後悔しないための予備知識です。
パノラミックビューはアドバンスだけの特権
車を真上から見下ろしたような映像をモニターに映し出すパノラミックビューモニター。全長約4.9メートルのクラウンを、狭いコインパーキングや自宅の車庫に入れるとき、これほど頼もしい味方はありません。
この機能は、アドバンスには標準装備されていますが、標準のRSでは一部の年式を除いて設定すらできない場合があります。カメラの台数や配線が根本的に異なるため、後付けはほぼ不可能です。実際のところ、これがないと怖くてクラウンを動かせないというオーナーも少なくありません。
3.5LモデルはRSでもアドバンスに近い中身
ここで一つ、面白い例外があります。3.5LのV6ハイブリッドモデルを選ぶ場合、グレード名がただの「RS」であっても、装備内容は2.5Lのアドバンスに匹敵するほど豪華になっています。
なぜなら、3.5Lは車体価格自体が高価なため、ベースとなる装備も格上げされているからです。もし狙っている個体が3.5LのRSであれば、無理にアドバンスの名称にこだわる必要はないかもしれません。エンジンの排気量によって「RS」という言葉の重みが変わる点は、非常に見落としやすいポイントです。
後から付けられない機能が多いので慎重に選ぶ
車の装備には、後からカー用品店で買えるものと、工場で作る時にしか付けられないものがあります。クラウンRSとアドバンスの差は、そのほとんどが後者です。
- ヘッドライトの三眼化(配線加工が必要で高額)
- シートベンチレーション(シート自体の交換が必要)
- 安全アシスト用の各種センサー類
「後で必要になったら付ければいいや」という考えは、この車に関しては通用しません。少しでも迷う気持ちがあるのなら、多少無理をしてでもアドバンスの個体を選んでおいた方が、結果的に長く愛せるはずです。
実際に乗ってみて感じた使い勝手の細かな違い
数値やカタログスペックには現れない、日常の何気ない瞬間に感じる「差」についても触れておきます。クラウンという車は、細部へのこだわりの積み重ねでできています。数日間、あるいは数年間共にする中で、アドバンスの細かな配慮が心に染みる瞬間が何度もありました。
室内スピーカーの数はアドバンスが圧倒的に多い
音楽を聴くのが好きな人にとって、スピーカーの数は無視できない要素です。標準のRSは10スピーカーですが、アドバンスにはトヨタプレミアムサウンドシステムの16スピーカーが備わっています。
天井や後席の至る所に配置されたスピーカーから流れる音は、車内をまるでコンサートホールのような空間に変えてくれます。
実際のところ、音の厚みや解像度がまるで違います。
テレビの音やラジオの声さえもクリアに聞こえるため、渋滞中のイライラが少し軽減されるような感覚。
この音響空間を手に入れるためだけにアドバンスを選ぶ価値は、十分にあると感じました。
ブラインドスポットモニターで車線変更が楽になる
最近の車には珍しくない装備ですが、クラウンのブラインドスポットモニターは非常に精度が高いです。隣の車線を走る車をサイドミラー内のアイコンで知らせてくれるだけでなく、車線変更をしようとした際に危険があれば警告音で知らせてくれます。
セダンはSUVなどに比べると着座位置が低く、死角ができやすい形状をしています。斜め後ろから接近するバイクや、夜間の見えにくい車両を車側が教えてくれるのは、精神的な余裕に直結します。この機能のおかげで、交通量の多い首都高などでも自信を持ってハンドルを切れるようになりました。
助手席のパワーシートは同乗者に喜ばれる
アドバンスには、運転席だけでなく助手席にも電動で細かく調整できるパワーシートが備わっています。さらに、運転席や外側から助手席を動かせるスイッチが付いているのが、いかにもクラウンらしいおもてなしの心です。
例えば、家族を迎えに行った時に、乗り込みやすいようにあらかじめシートを下げておいてあげる。あるいは、疲れて眠ってしまった同乗者のために、そっとリクライニングを倒してあげる。こうした細かな心遣いが自然にできるのは、アドバンスならではの装備が支えているからです。
中古車で選ぶときにチェックしたいポイント
最後に、中古車としてクラウンを探す際の実践的なアドバイスです。RSアドバンスは豪華な装備が魅力ですが、それゆえにチェックすべき項目も多くなります。せっかくの上位グレードも、コンディションが悪ければその価値を十分に享受できません。
本革シートは擦れやひび割れが出やすい
アドバンスの象徴でもある本革シートですが、走行距離が5万キロを超えてくると、運転席の右側(乗り降りで体が擦れる部分)にダメージが出始めます。
- サイドサポート部分の色の剥げ
- 座面のシワやひび割れ
- テカリによる質感の変化
これらは丁寧に乗られてきたかどうかを判断する絶好の材料になります。もし革の状態が良ければ、前のオーナーが大切に扱い、こまめにメンテナンスしていた証拠。逆にひどいひび割れがある場合は、シートの補修に数万円のコストがかかることを覚悟しなければなりません。
オプションのサンルーフが付いているか見る
アドバンスの個体を探すなら、サンルーフ(ムーンルーフ)の有無は必ずチェックしてください。これはアドバンスでもオプション設定だったため、付いていない個体も多いです。
サンルーフがあると車内が明るくなり、開放感が格段にアップします。また、将来売却する時の査定額が10万円以上変わることもある、非常に「コスパの良い」装備です。天井にあるスイッチを操作して、異音なくスムーズに開閉するかどうか、現車確認の際には必ず動かしてみることをお勧めします。
整備記録簿で電子制御パーツの交換歴を調べる
アドバンスは電子制御の塊です。パノラミックビューのカメラや、アダプティブハイビームの制御ユニットなど、複雑なパーツが多く使われています。
過去の整備記録簿を見て、不自然な部品交換や修理歴がないかを確認しておきましょう。特に最新の運転支援システムに関連するエラー履歴がないかは、ディーラーで購入する場合は必ず営業担当者に確認したいポイントです。万が一、購入後にこれらのセンサー類が故障すると、修理代は一箇所で10万円を超えることも珍しくありません。
まとめ:納得できる一台でクラウンを楽しもう!
220系クラウンのRSとRSアドバンスを比較して見えてきたのは、単なるグレードの上下ではなく、毎日の運転に対する安心感と快適性の明確な境界線です。三眼LEDによる外観の高級感や、本革シートとベンチレーションによる車内環境、そしてパノラミックビューモニターを筆頭とする高度な安全支援機能など、アドバンスが持つ装備はどれも現代の高級セダンに求められる水準を満たしています。新車時の価格差を考えればアドバンスの充実ぶりは納得のいくもので、中古車となった現在でもその価値は市場価格にしっかりと反映されています。
購入を検討する際は、まず自分が「安全支援」と「夏場の快適性」をどの程度重視するかを自分に問いかけてみてください。高速道路を多用し、夏のドライブをより涼しく過ごしたいのであれば、予算を上乗せしてでもアドバンスを選んだ方が後悔のない選択になります。一方で、基本性能や走りの質自体はRSでも共通しているため、装備を絞って初期費用を抑える選択も一つの正解です。中古車市場の在庫状況と照らし合わせながら、自分が最も価値を感じる装備が備わった一台を見定めてください。


