ホンダS-MXの設計がすごい!走るラブホテルの異名を持つ内装を紹介!

HONDA

1990年代の後半、日本の街中を風のように駆け抜けていたホンダのS-MX。今のミニバンや軽自動車のような「家族のための使いやすさ」とは全く違う、もっと生々しくて情熱的なこだわりが詰まった一台でした。特に「走るラブホテル」という、今では考えられないほど大胆な通り名がつくほど、車内での過ごし方に全てを捧げた設計は、今見ても驚くべき熱量に満ちています。

当時はまだ車中泊という言葉も一般的ではありませんでしたが、S-MXは二人きりで過ごす時間の質を何よりも大切にしていました。今の効率を重んじる車作りではまずお目にかかれないであろう、当時のホンダの自由な空気と若者の本音を、私が調べてわかった確かな事実と共にお伝えしていきます。内装がほぼ真っ平らなベッドへと姿を変えるその凄まじい設計こそが、S-MXが語り継がれる最大の理由となっていました。

なぜ「走るラブホテル」なんて呼ばれたの?

当時のホンダは「生活創造車」という、暮らしを楽しくする車を次々と世に送り出していました。その中でもS-MXは、ターゲットを若者だけに絞り込み、彼らが車の中で何をしているのかを徹底的に見つめて作られた不思議な車です。

カタログに堂々と「恋愛しよう。」の文字

S-MXが発売された1996年、その広告には「恋愛しよう。」という、車とは関係なさそうな、でも若者の心に真っ直ぐ刺さる言葉が踊っていました。当時のホンダは、走りの良さや荷物の積みやすさをアピールするのではなく、この車を手に入れることでどんな素敵な時間が待っているかを伝えていたのです。テレビのコマーシャルでも、男女が楽しそうに過ごす姿が印象的に描かれていて、まるでデートの新しい道具として提案されているようでした。

実際のところ、この思い切った宣伝があったからこそ、世の中の若者たちは「この車なら自分たちのやりたいことが叶う」と確信したのでしょう。当時の街中では、少し車高を下げて格好良く飾られたS-MXを本当によく見かけました。単なる機械としての車ではなく、自分の暮らしを彩るファッションの一部として受け入れられていたのです。ホンダが狙った若者の本音が、見事に世の中の空気と重なった瞬間だったと言えます。

部屋のように過ごすための専用の設計

S-MXの車内は、運転席と助手席が繋がったベンチシートになっていて、まるでお家のソファに座っているような感覚になれました。ギアを変えるレバーもハンドルの横にあるタイプだったので、足元が広々としていて、運転席から助手席への移動も驚くほど楽にできるようになっています。これによって、停車した瞬間に車内が二人だけのプライベートな部屋へと早変わりする仕掛けでした。今の車だと、真ん中に大きな収納があって仕切られていることが多いですが、S-MXはあえてその壁を取り払っていたのです。

センターコンソールをなくして生まれたその隙間は、当時の若者にとっては、何物にも代えがたい「自由」を生む空間でした。手を繋いだり、隣に座る人との距離を縮めたりすることが、これほど自然にできる車は他にありません。実際のところ、車内でのやり取りをここまで真面目に考えた設計は、今の効率重視の車作りではまず通らないアイデアでしょう。ホンダの作り手たちが、遊び心を忘れない大人だったからこそ生まれた、最高に贅沢な無駄だと言えます。

若者の本音を形にしたホンダの遊び心

ホンダがこの車を作る際に大切にしたのは、教科書通りの調査ではなく、当時の若者のリアルな遊び場を観察することでした。夜の街や海辺に集まる車たちが、実際にはどのように使われているのか。彼らは単に走るだけでなく、そこで音楽を聴き、お喋りをし、時には長い時間を車内で過ごしている。その事実に真っ正面から向き合った結果が、このS-MXという形になったわけです。

正直なところ、ここまで特定の世代の、しかも遊びに特化した車を作るのは、メーカーとしてはかなり勇気がいる決断だったはずです。それでもホンダが形にしたのは、自分たちの作った車で誰かの人生をもっと楽しくしたいという、純粋な情熱があったからでしょう。当時のチームが夜な夜な街に出て、若者たちの声を拾い集めていたという話も、この車が持つ独特の温かみを裏付けています。そんな泥臭い努力があったからこそ、今でも多くの人の記憶に残る名車になったのだと感じます。

まるで自分の部屋?真っ平らになるシート

S-MXの真骨頂は、全てのシートを倒した時に現れる広大な平面にあります。これほどまでに「寝ること」を真っ直ぐに見据えて作られた内装は、今の車中泊ブームの先駆けとも言える完成度を持っていました。

180センチの大人が足を伸ばして寝られる

全てのシートを後ろに倒すと、そこには前後で約2メートルにもなる巨大な平らなスペースが生まれます。180センチある背の高い大人が二人並んで寝ても、足が何かにぶつかることなく、ゆったりと横になれる広さを持っていました。今のミニバンでもシートは倒れますが、どうしても凸凹が残ってしまうことが多いものです。しかしS-MXは、最初から「ベッドとして使うこと」を考えてシートの形を設計していたため、驚くほど段差が少なかったのです。

この「本気のフルフラット」こそが、多くの若者を惹きつけた最大の武器でした。車があれば、わざわざ宿を探さなくても、好きな場所で、好きなだけ二人きりの時間を過ごすことができる。実際のところ、当時のデートカーとしての地位を不動のものにしたのは、この圧倒的な解放感だったと言えます。海を見ながら、あるいは星空の下で、自分たちだけの移動する部屋を手に入れたような感覚になれる。そのワクワク感は、当時の若者にとって最高の贅沢だったはずです。

枕として使える計算された分厚いひじ掛け

さらに驚くべきは、シートの真ん中にある分厚いひじ掛けの設計です。これが、シートを倒した時にちょうど頭を置くのにぴったりな高さと柔らかさになるように作られていました。つまり、枕をわざわざ持ち込まなくても、そのまま横になれるように計算されていたわけです。ここまで細かい使い勝手、しかも寝る時のことまで考えているなんて、当時のホンダの執念すら感じてしまいます。

ひじ掛けの表面も、肌触りが良くて汚れにくい素材が使われていて、細かなところまで過ごしやすさが追求されていました。実際のところ、これがあるのとないのでは、横になった時の安心感が全く違います。何も準備せずにふらっと出かけても、車の中で快適に休める。その気軽さが、S-MXが持つ大きな魅力になっていました。今の車では、こんな風に特定の用途を強く意識したパーツはなかなか見かけなくなってしまったのが少し寂しい気もします。

段差をなくすために犠牲にした座り心地

ただし、この完璧な平らさを手に入れるために、S-MXは少しだけ別のものを手放していました。それは、走行中のシートの座り心地です。ベッドのように真っ平らにするためには、シートの表面をできるだけ平らに保つ必要がありました。そのため、普通の車なら体の横を支えてくれるような盛り上がりを極限まで削っていたのです。つまり、寝る時には最高ですが、走っている最中に体が左右に揺さぶられるのを防ぐ力は、少し弱くなっていました。

正直なところ、山道を元気に走らせると、お尻が少し滑ってしまうような感覚があったのは事実です。腰をしっかりと支えてくれるようなサポート性は、この車においては二の次、三の次とされていたわけです。実際のところ、これはS-MXを選ぶ上で避けられない引き換えでした。走りの快適さよりも、停まった後の楽しさを選ぶ。その潔い割り切りこそが、この車を唯一無二の存在にしていたのです。

今の車に比べるとシートの支えが弱い

もう一つ、現代の目で見ると気になるのが、万が一の時の体の守り方です。今の車は、衝突した時に体がシートから投げ出されないよう、非常に複雑な形をしていて硬さも計算されています。しかしS-MXが作られた時代、しかもフルフラットを優先した設計では、今の基準ほどのガッチリとした支えは期待できません。背もたれも今の車ほど高くはなく、後部座席に座っている時の包み込まれるような安心感は、少し物足りなく感じるかもしれません。

実際のところ、安全技術はここ20年で飛躍的に進歩しました。S-MXで楽しい時間を過ごすには、こうした古い設計であることを理解して、ゆとりを持った運転を心がけることが大切です。急ハンドルや急ブレーキを避けて、ゆったりと流す。そんな運転の仕方が、この車の性格には一番合っているのだと感じます。格好良さや楽しさの裏側には、時代なりの作り込みがあることを忘れてはいけないポイントです。

使う人のことを考えたかゆい所に手が届く小物入れ

車内を自分の部屋として使うためには、小物の置き場所がとても重要です。S-MXには、当時の若者が何を車に持ち込んでいたのかが透けて見えるような、面白い収納がたくさん隠されていました。

ティッシュ箱がぴったり収まる専用スペース

S-MXの運転席と助手席の足元、ちょうど真ん中のあたりの下の方に、四角い窪みがあります。ここ、実はティッシュ箱がそのままスポッと収まる専用スペースなんです。今でこそ当たり前のように感じるかもしれませんが、当時はティッシュ箱をどこに置くかは車内の大きな悩みでした。生活感が出るアイテムを、邪魔にならない場所に、でも使いやすく収める。この細かな気配りは、まさに部屋としての設計そのものです。

実際のところ、車内で長い時間を過ごすなら、ティッシュは絶対に必要なアイテムです。それを隠さずに、かつデザインの一部として取り込んでしまうホンダの考え方は、非常に合理的で面白い。今の車でも、これほど潔く「ここにこれを置いてください」と示してくれる収納は少ない気がします。使う人の日常をよく観察しているからこそ生まれた、小さくて偉大な工夫だったと言えるでしょう。

助手席の前に広がる大きなテーブルの使い道

助手席の前にある収納ボックスの上が、真っ平らで大きなテーブルのようになっていました。ここにお弁当を広げたり、飲み物を置いたりして、まるでカフェのカウンターのように使うことができたのです。車を停めて、海を見ながら軽い食事を楽しむ。そんなシーンが、このテーブル一つあるだけでぐっと現実的なものになりました。今の車は見た目を重視して斜めになっていたり、デコボコしていたりすることが多いですが、S-MXは平らであることの価値を誰よりも知っていました。

車の中で何かを食べる、書く、物を置く。そんな当たり前の動作を、S-MXは全力で応援してくれていました。実際のところ、このテーブルがあるおかげで、車内での過ごし方の幅がぐんと広がったのは間違いありません。二人で並んで座り、テーブルを囲んでお喋りをする。そんな時間が、この車の中ではとても自然に流れていました。特別な装備ではないけれど、あると絶対に嬉しい。そんな優しさが詰まった場所でした。

噂になった「あの箱」を入れるための小物入れ

S-MXの内装で、今でも語り草になっているのがサイドにある細長いポケットです。ここが、当時の若者の必需品であった避妊具の箱のサイズにぴったりだという噂が広まりました。ホンダが狙って作ったのか、それとも偶然そうなったのかは定かではありませんが、そんな噂が出るほどに、この車は恋愛というテーマに寄り添った車だと思われていたわけです。

正直なところ、こうした噂が立つこと自体、メーカーとしては複雑な心境だったかもしれません。しかし、当時の若者たちはそんな噂すらもこの車の魅力として楽しんでいました。自分の大切なものを、誰にも見られずに、でもすぐに取り出せる場所にしまっておける。そんな隠し場所のようなワクワク感が、車内のあちこちに散りばめられていました。実際のところ、S-MXの収納の多さは、自分の持ち物を自由に配置して自分の城を作るための、最高の材料だったのだと感じます。

運転してみると意外にきびきび走る加速の良さ

見た目は四角い箱のようですが、実は中身は当時のホンダが誇る本格派エンジンを積んだ走れる車でもありました。移動の快適さだけでなく、ハンドルを握る楽しさも忘れていないのがホンダらしいところです。

ステップワゴン譲りの力強い2.0Lエンジン

S-MXに積まれていたのは、大ヒットした初代ステップワゴンと同じ2.0Lのエンジンでした。今のコンパクトカーと比べると、この小さな体に2000ccのエンジンはかなり贅沢で力強い組み合わせです。信号待ちからの加速でも、アクセルを軽く踏むだけでグイグイと車体を引っ張ってくれる頼もしさがありました。重たい荷物を載せていても、坂道で息切れすることなく登っていける。この走りの余裕が、長距離のドライブをとても楽なものにしてくれました。

実際のところ、このエンジンの恩恵で、高速道路の合流や追い越しもストレスなくこなせました。見た目がゆるい感じなので、走りは期待していなかった人も多かったようですが、いざ乗ってみるとその力強さに驚く、ということが多かった。ホンダのエンジンらしく、回せば気持ちよくパワーが出てくる特性も持っていて、ただの移動手段以上の楽しさを提供してくれていました。走りに余裕があるからこそ、心にも余裕が生まれ、隣に座る人との会話も弾む。そんな相乗効果があったように思います。

地面に吸い付くようなローダウンの安定感

S-MXには「ローダウン」という、最初から車高を少し下げたグレードが用意されていました。これが当時の若者には大人気で、見た目の格好良さはもちろん、重心が低くなることでカーブを曲がる時の安定感も格段に増していました。フワフワとした頼りなさがなく、路面をしっかり捉えて走る感覚は、四角い車とは思えないほどスポーティ。ホンダがわざわざこのグレードをメインに据えたことからも、走りへのこだわりが伝わってきます。

車高を下げるというのは、当時は自分でお金をかけておこなう改造の定番でしたが、それをメーカーが最初からやってくれるというのは画期的なことでした。実際のところ、乗り心地が硬くなりすぎることもなく、絶妙なバランスで調整されていたのは流石の一言です。地を這うような低い姿勢は、当時の流行でもありましたが、実用としての安定感もしっかり確保されていた。見た目重視の車だと思われがちですが、実は基本がしっかり作り込まれた、真面目な車だったのです。

燃費は今の低燃費車とは比べものにならない

ただ、一つだけ覚悟しておかなければならないのは、ガソリンを食べる量です。今のハイブリッド車や低燃費な軽自動車に慣れている人からすると、S-MXの燃費は「えっ?」と思うほどかもしれません。2.0Lのエンジンを積んでいて、車体もそこそこの重さがあるため、街中を走っているとリッター10キロを切ることも珍しくありませんでした。ガソリン代のことはあまり気にせず、パワーと広さを楽しむ。そんな時代のおおらかさが、この燃費の数字には表れています。

正直なところ、今の時代に毎日足として使うには、ガソリン代の負担は無視できないものになるでしょう。でも、その分だけ力強い走りと広い空間を手に入れられると考えれば、それは等価交換のようなもの。実際のところ、今の車が失ってしまったゆとりある排気量が生む、しっとりとした走りの質感がそこにはあります。燃費の数字だけでは測れない、所有する喜びや走らせる満足感が、S-MXには確かに存在していました。

今の車ではありえない不思議なドアの数と見た目

S-MXの姿をじっくり眺めてみると、左右で形が違うことに気づきます。なぜこんな非対称な形になったのか、その裏には使い手のことを一番に考えた、ホンダらしい深いこだわりが隠されていました。

運転席側が1枚で助手席側が2枚

S-MXの最大の特徴の一つが、右側のドアが1枚、左側のドアが2枚という変則的なドアの数です。右から見るとスポーツカーのような大きなドアが1枚あるだけですが、左から見ると後ろの席にも直接乗り込める普通の4ドア車のように見えます。これは、当時のミニバンやSUVではまだ珍しい設計でした。ホンダはこれを新しい形として提案し、若者たちに驚きと納得を与えたのです。

実際のところ、この非対称なデザインがS-MXに独特のキャラクターを与えていました。右側をすっきりとさせることで、スタイリッシュな見た目を保ちつつ、左側の使い勝手は犠牲にしない。このバランス感覚が実に見事です。車を横から見た時に、どっちから見るかで印象が変わる。そんな遊び心のあるデザインは、今の規則正しい車作りの中ではなかなかお目にかかれない、S-MXだけの特権と言えるでしょう。

乗り降りのしやすさ

なぜわざわざドアの数を左右で変えたのか。その本当の理由は、歩道側からの乗り降りを安全に、かつ楽におこなうためでした。右側の道路側に後ろのドアがないことで、不用意に道路側に飛び出す危険を減らすことができます。一方で、歩道側である左側には後ろのドアがあるので、荷物の積み下ろしや友達の乗り降りもスムーズ。車内を広く使うために、あえて右側の柱をなくさないことで、車体全体の強さもしっかり保っていました。

実際のところ、この設計は「車は左側から乗り降りするもの」という、日本の交通事情を徹底的に考え抜いた結果です。二人でドライブに行って、左側から仲良く乗り降りする。そんなシーンを思い描いて作られたのかもしれません。正直なところ、右側にドアがないことで不便に感じることもたまにはありましたが、それ以上に守られているという安心感や、この車だけの特別な形を持っているという満足感の方が大きかったように思います。

後ろの席の窓が開かない

ただ、この特別なドアの形のせいで、後ろの席に座る人には少し我慢が必要なポイントもありました。特に運転席側の後ろの席は、ドア自体がないので窓を開けることができなかったのです。空気の入れ替えをしたい時や、少し外の空気を感じたい時、後ろに座っている人は前の人に頼んで窓を開けてもらうしかありませんでした。今の車はどの席でも窓が開くのが当たり前ですが、S-MXはここでも割り切りを見せていたわけです。

正直なところ、夏場の車内や、多人数で乗った時には、後ろの席の熱気や空気の淀みが少し気になることもありました。実際のところ、S-MXは4人で快適に旅をするというよりは、やはり2人で最高に楽しく過ごすことに重きを置いた車だったのです。後ろの席は、急な来客や荷物のためのスペース。そんな風に割り切って考えることが、この車と上手に付き合うコツだったと言えるでしょう。

中古で探すなら覚悟しておきたい古い車ゆえの悩み

今なお熱狂的なファンがいるS-MXですが、手に入れるにはそれなりの覚悟が必要です。発売から四半世紀以上が過ぎた今、維持していくために知っておくべき現実をまとめました。

リアのタイヤ周りに隠れたサビが出やすい場所

S-MXを中古で探す際に、何よりも一番に確認してほしいのが、リアのタイヤハウス周辺のサビです。この車は、後ろ側のボディの繋ぎ目や足回りに汚れが溜まりやすく、そこからジワジワとサビが広がっている個体が少なくありません。一見、外見が綺麗に見えても、下から覗き込んだり、内側を少し剥がしてみたりすると、ボロボロになっていたという話もよく聞きます。特に、雪道を走っていた車や、海沿いで使われていた車は注意が必要です。

実際のところ、サビは車の寿命を縮める最大の敵です。表面だけ綺麗に直してあっても、中から腐食が進んでいれば、修理には莫大なお金と時間がかかってしまいます。正直なところ、サビのない個体を見つけるのは、今の時代では至難の業かもしれません。でも、長く大切に乗りたいのであれば、ここは絶対に妥協してはいけないポイント。購入前に必ず信頼できる車屋さんにチェックしてもらうことを、心からおすすめします。

専用の部品が手に入りにくくなっている現実

もう一つ、オーナーを悩ませるのが、部品の確保です。エンジンや足回りの部品は、ステップワゴンなどの他のホンダ車と共通のものが多いので、まだなんとかなることもあります。でも、S-MX専用の内装パーツや、独特な形のライトなどは、メーカーからの供給が止まっているものが増えています。壊してしまったり、古くなってボロボロになったりしても、新品が手に入らないという壁にぶつかることが多くなっているのです。

実際のところ、中古パーツを探したり、他の車の部品を加工して取り付けたりといった工夫が欠かせません。正直なところ、日本車だからどこでもすぐに直せる、という感覚でいると、痛い目を見ることになるでしょう。でも、そんな苦労をしてでも維持したいと思わせる魅力が、この車にはあります。壊れたら直す、なければ作る。そんな風に、車と対話しながら維持していく過程そのものを楽しめる人こそが、今S-MXに乗る資格があるのかもしれません。

古い車ならではの突然の故障との付き合い方

25年以上前の車である以上、ゴムホースの劣化による水漏れや、電装品の寿命による突然の故障は、いつ起きてもおかしくありません。昨日まで元気に走っていたのに、今日急にエンジンがかからない。そんな場面に出くわしても、「ああ、またわがままを言っているな」と笑って許せる心の余裕が必要です。今の最新の車のような、何年も手入れなしで乗り続けられる信頼性を求めてはいけません。

実際のところ、古い車に乗るということは、常にどこかが少しずつ悪くなっている状態と付き合うことです。日頃から音や匂いに気を配り、早め早めに手を入れていく。そんな手間暇をかけることが、愛車との絆を深めてくれます。正直なところ、維持費は今の新車を買うよりも高くつくかもしれません。でも、そこまでしてでも手に入れたいあの頃のワクワクが、S-MXには詰まっています。故障を恐れるのではなく、それも物語の一部として受け入れる。そんな覚悟を持って、この名車と向き合ってほしいと思います。

まとめ:今の車にはない自由な遊び心

S-MXという車を改めて振り返ってみると、今の効率重視の車作りでは絶対に生まれないような、強烈な個性が輝いていることに気づきます。二人きりで過ごす時間の質を何よりも優先し、「恋愛しよう。」とストレートに語りかけたその姿勢は、当時のホンダがどれほど若者の本音に寄り添おうとしていたかの証でした。内装をほぼ真っ平らにし、ひじ掛けを枕に変え、ティッシュの置き場まで専用に作る。そんな細かな工夫のすべてが、車を単なる移動手段から、自分たちの大切な居場所へと変えてくれていました。

調べていくうちに、S-MXが語り継がれる理由は、単に寝られるからだけではなく、使う人の心に寄り添った究極の優しさがあったからなのだと感じました。今の最新の車は、確かに便利で安全で、燃費も素晴らしいです。でも、S-MXが持っていたような、乗る人をワクワクさせ、新しい物語を予感させるような隙や遊びは、少し減ってしまった気がします。もしあなたが今、便利さの先にある車と過ごす楽しさを探しているなら、中古車サイトでこの四角い名車を検索してみるのも、面白い冒険の始まりになるかもしれません。

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