「CX-60が気になっているけど、なんか悪い評判も多い気がして…」
そう感じて検索してきた人は、きっと少なくないはずです。実際、CX-60に関してはネット上に「がっかりした」「期待外れだった」という声がかなり目立ちます。
この記事では、CX-60が期待外れと言われるようになった理由を一つひとつ整理しながら、2025年モデルで何が変わったのかまで掘り下げています。購入を検討しているなら、読んでおいて損はないと思います。
CX-60が「がっかり」と言われる理由
まず結論から言うと、CX-60への不満は主に初期モデルの出来にある、というのが正直なところです。デザインや走りのポテンシャルへの期待が高かった分、実際に乗ってみてギャップを感じた人が多かったのです。
不満のポイントは乗り心地、トランスミッション、価格感、サイズという4つに大きく絞られます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
乗り心地が硬くて、特に後席がつらかった
初期モデルのCX-60で最も多かった声が、「乗り心地の硬さ」です。
CX-60は欧州市場を強く意識した設計で、スポーツカーに近いサスペンションレイアウトを採用しています。フロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンク式という本格的な構成ですが、バネが全体的に硬めに設定されていたことで、路面の段差を超えたときの突き上げ感がかなりダイレクトに車内に伝わっていました。
特に後席はひどかった、という言葉をオーナーの記録でよく見かけます。後ろに乗せた家族から「酔いそう」と言われた、という話も珍しくありません。
高速道路では安定感があって快適でも、街中の細かい段差でガンガン跳ねるという状況は、日本での使い勝手とのミスマッチでした。
トランスミッションがギクシャクする場面がある
CX-60に搭載されている8速ATは、トルクコンバーターを持たない新設計のもの。これがクセモノでした。
信号待ちからの発進、渋滞中の低速走行、坂道での加減速といった場面で、変速の際にカクッとした引っかかりを感じるというのが代表的な不満です。スムーズに走り始めたいのに、どこかギクシャクする。それが日常的に繰り返されると、じわじわとストレスになります。
ディーゼルとPHEVで印象が少し異なるという声もありますが、どちらのモデルでも低速域の制御に難があるという点は共通していました。
価格と装備のバランスが合わないと感じた人が多い
CX-60の価格は400万円台後半から、上位グレードでは570万円超にもなります。これだけの価格帯になると、どうしてもBMWやボルボといった欧州プレミアムSUVとの比較対象になります。
そこで出てきた声が「インテリアの細部がプラスチック感を感じさせる」「この価格なら装備がもっと充実していてほしかった」というものです。デザインの完成度や走りのフィールは高く評価されている一方で、細かい部分の仕上げや装備の充実度において、同価格帯の輸入車と比べると見劣りすると感じる人が出てきました。
車体サイズが日本の道路に対して大きすぎる
全長4,740mm、全幅1,890mm。これはCX-5と比べて全長で195mm、全幅で50mm大きい数字です。
50mmという差は数字では小さく見えますが、実際に乗り換えると感覚がかなり違います。住宅街の路地、コンビニの駐車場、立体駐車場の幅制限。日本で車を使う日常の中には、この「50mm」が意外と引っかかる場面が多いのです。
最小回転半径も5.4mと大きめで、Uターンや狭い交差点での取り回しに慣れが必要になります。CX-5から乗り換えて「思っていたより大きかった」という感想をよく目にするのも、この数字の差を体感した結果です。
リコールが多すぎる、という声について
乗り心地やATの問題とあわせて語られることが多いのが、リコールの多さです。
「またリコール?」という反応が出るほどの頻度で不具合対応が続いたことで、「CX-60は欠陥車ではないか」という印象がネット上で広まりました。ここでは実際に何が起きていたのかを整理します。
どんな不具合が何回起きたのか
2022年の発売から約2年の間に、CX-60のリコールは累計9回以上。対象台数は約34,000台にのぼります。
主な内容は以下のとおりです。
| 不具合の種類 | 主な症状 |
|---|---|
| エンジン再始動不良 | アイドリングストップ後にエンジンがかからない |
| トランスミッション制御不良 | 停車時にクラッチが不適切に作動、変速ショック |
| 電装系の誤作動 | インフォテインメントのフリーズ、エアコン誤動作 |
| メーター表示不良 | 走行中にメーターが消える |
エンジンが止まって動かなくなる、という症状は安全に直結する問題です。「信号で止まったら再始動しなかった」という経験をしたオーナーは、かなりの不信感を抱くはずです。それは当然だと思います。
初期モデルを買ったオーナーへの影響
2022年から2023年の初期に購入したオーナーは、複数回のリコール対応を経験することになりました。
マツダは無償で対応を進めており、ソフトウェアのアップデートや制御ユニットの交換が実施されています。中には、エンジンそのものを載せ替えるケースもあったと報告されています。
もっとも、「リコール対応後も症状が改善しなかった」という声も一部に残っており、すべての個体で効果が同じだったわけではありません。対応の品質には個体差があったというのが、当時の実情のようです。
マツダの対応は早かったのか遅かったのか
リコールを重ねるたびに、マツダがすぐに無償対応を案内していたこと自体は評価できる点です。放置されたわけではなく、問題が判明するたびに対応を打ってきた、という姿勢は見えていました。
ただ、何度も繰り返されることで「またか」という印象が積み重なっていったことも事実です。同クラスのSUVであるトヨタRAV4の同時期のリコール件数が3件程度であるのに対して、CX-60の9回超という数は、明らかに異例でした。
発売当初に期待が高かった分、落差が大きかった
CX-60への失望は、単に車の出来だけの問題ではありませんでした。そもそも「どんな車として期待されていたか」という前提が、落差を大きくしていたのです。
「直6ディーゼル×FRのSUV」という触れ込みが作った期待
CX-60の登場時のキャッチは強烈でした。国産SUVでは珍しい直列6気筒縦置きエンジン、FR(後輪駆動)ベースのプラットフォーム。これはBMWのX3やX5が採用する構成と同じ方向性です。
「マツダがついにここまできた」という期待感が高まるのは自然なことでした。価格設定も含めて、プレミアムSUVとして打ち出してきた以上、比較対象は欧州の高級車になります。そうなると、乗り心地の粗さや細部の仕上げの甘さは余計に目立ちました。
CX-5からの乗り換えを想定していた人が感じたズレ
CX-5はマツダの中心的なモデルで、乗り心地と使い勝手のバランスが評価されてきた車です。CX-5から「ひとつ上のモデルへ」という感覚でCX-60に乗り換えた人には、想定外のことが起きました。
乗り心地は硬くなり、サイズは大きくなり、ATはギクシャクする。「CX-5の上位互換のような車」を求めていた人にとっては、方向性がまったく違う車だったのです。走りの楽しさを追求した欧州志向の設計と、日本での日常使いに最適化されたCX-5的な設計は、そもそも目指しているところが違います。
「誰向けの車か」が分かりにくかった
走りを楽しみたいドライバーに向けた車なのか、プレミアムな移動空間を求めるファミリー向けなのか。CX-60は、そのどちらにも半分ずつ足をかけているような車です。
ターゲットが曖昧だったことで、どちらのユーザーにとっても「なんか違う」と感じやすい状況が生まれていました。期待値の高さと設計の方向性のズレが重なって、「がっかり」という印象が広がっていったのだと思います。
2025年モデルの改良で、乗り心地はどう変わった?
不満の声を受けて、マツダは2025年2月に改良モデルを投入しました。このアップデートは単なる細部修正ではなく、サスペンション全体の設計を見直す本格的なものでした。
| 項目 | 初期モデル | 2025年改良モデル |
|---|---|---|
| フロントスプリング | 硬め | 減衰力を見直し、操舵を安定化 |
| リアスプリング | 硬め | バネを軟化、ストローク量を拡大 |
| リアスタビライザー | あり | 廃止(CX-80と同仕様) |
| バンプストッパー | 通常長 | 短縮(突き上げを緩和) |
| ATのフィール | ギクシャク感あり | 制御を見直し、スムーズに改善 |
バネとダンパーをどう変えたのか
改良の核心は、前後スプリングを軟化させたことと、それに合わせてダンパーの減衰力を全面的に見直したことです。
ただバネを柔らかくするだけでは、コーナリング中にふらついてしまいます。そこでフロントは伸び側の減衰力を強めることで、ソフトなバネになっても操舵の安定感を確保するという設計になっています。さらにステアリングナックルの締結ポイントを変更し、バンプトーアウトを増加させることで操舵の安定性を補っています。
リアはスタビライザーを廃止して、バンプストッパーを短縮。リアサスのストロークをより大きく使えるようにすることで、段差での突き上げをスプリングとダンパーが吸収しやすくなりました。これはCX-80と同じ設定で、実績があるアプローチです。
後席の乗り心地は本当に改善されたの?
複数の自動車メディアが2025年改良モデルを試乗した結果、特にリアシートの快適性については「劇的改善」という言葉が使われています。
初期モデルで最もひどかった後席の突き上げ感が、大きく緩和されたとのことです。試乗したライターが「デビュー当初とはまったく違う」と表現するほどの変化があったと報告されています。
長距離ドライブで後ろに乗る人への影響が一番大きい部分だったので、ここが改善されたのは実用上の意味が大きいと思います。
改良後も気になるとすればどこか
試乗インプレッションを読み込むと、フロントの突き上げ感については「まだ完全ではない」という意見も出ています。
後席と比べてフロントの改善幅は控えめで、「もう少しスプリングを柔らかくしてもいい」という声もありました。また、PHEVモデルのモーター制御の滑らかさについては、改良後もまだ余地があると見られています。
2025年モデルで「初期の問題の大部分は解決した」と言えますが、すべてが解決したわけではない、というのが正直な現状です。
CX-60が向いている人・向いていない人
「がっかり」という声が多いといっても、CX-60が苦手な人に合わない車、というだけの話です。刺さる人には刺さる車でもあります。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 高速道路・長距離ドライブが多い | 街乗り中心で狭い道が多い |
| 走りのフィールを重視する | 乗り心地の柔らかさを最優先する |
| デザインと内装の質感を重視する | 駐車スペースに余裕がない |
| CX-5より走りが楽しい車を探している | 価格帯に敏感で細部の仕上げにこだわる |
高速道路メインで乗る人には走りが楽しい
直列6気筒ディーゼルターボのトルクは56.1kgm、最高出力は254ps。この数字は国産SUVの中では頭ひとつ抜けています。高速の合流や追い越しが余裕を持ってこなせて、クルージングの静粛性も高い。
長距離を一人や二人で走ることが多い人には、この走りのフィールは素直に気持ちいいと感じてもらえるはずです。WLTCモード燃費は20.9km/Lで、ディーゼルならではの低燃費も魅力です。
街乗り中心・駐車場が狭い環境には正直しんどい
全幅1,890mmは立体駐車場の幅制限(多くは1,850〜1,900mm)とギリギリの戦いになります。地下駐車場や機械式の立体駐車場は、入れないケースもあります。
駐車場の確認は、買う前に必ずやっておいたほうがいい項目のひとつです。日常的に停める場所のサイズを測っておかないと、後から気づいて後悔するパターンに入ります。
デザインと内装の質感で選ぶなら候補に残る
インテリアに関しては、素材の細部を指摘する声がある一方で「国産車の中では最高レベル」という評価も確かにあります。
シートの造形、ダッシュボードのデザイン、全体的な雰囲気は確かにプレミアム感があります。同価格帯の国産SUVと比べてデザインを重視するなら、候補から外す理由はないと思います。
まとめ:CX-60は「欠陥車」ではなく「扱いを選ぶ車」だった
初期モデルと2025年モデルは別物に近い
ネットに出回っている「CX-60がっかり」の声の多くは、2022〜2023年の初期モデルに向けたものです。
乗り心地の硬さ、ATのギクシャク感、リコールの連発。これらは確かに初期モデルで起きていた問題でした。ただし2025年2月の改良モデルでは、サスペンション設定が全面的に見直され、特に後席の乗り心地は「別物」と表現されるほど改善されています。
中古で初期モデルを安く買うのであれば、その点は理解した上で判断することをおすすめします。
試乗前に知っておきたいこと
試乗するなら、必ず後席にも座ってみてください。
また、日常的に停める駐車スペースの幅を事前に確認しておくことも忘れずに。「全幅1,890mm」は、地下や立体駐車場では制限にかかる場合があります。試乗コースに高速道路が含まれていれば、なおよいです。CX-60の走りの良さは、高速域でより素直に感じられます。
CX-60への「がっかり」は、初期モデルへの失望と、使い方とのミスマッチが重なった結果です。2025年モデルを自分の使い方に当てはめて考えてみると、印象はかなり変わってくるはずです


