スバルのモータースポーツ部門であるSTIが手がけるコンプリートカーは、いつもファンの心を掴んで離しません。2026年4月、ついに現行型のVBH型をベースにした最新の「WRX STI Sport#」が発表されました。これまでのS4にはなかった特別な仕掛けが施されていると聞き、胸が高鳴っている方も多いはずです。
今回のモデルで最も注目されているのは、国内仕様のVBH型として初めて採用された6速マニュアルトランスミッションの存在でしょう。これまでCVTのみだった現行型に、ついに「操る楽しさ」が戻ってきたことになります。調べてわかった最新のスペックや、前モデルとの違いを詳しくお話ししていきます。
WRX STI Sport#:発売日と抽選期間は?
2026年4月9日に正式な案内が出たことで、全国のスバル販売店が活気に満ちあふれています。今回の限定車は単なるカタログモデルではなく、台数も期間も厳しく決められた特別な一台です。まずは手に入れるためのスケジュールや、どのような段取りで手続きが進むのかを整理しました。
2026年4月9日に待望の正式発表
スバルが放った最新のニュースは、4月9日の午前中に一斉に駆け巡りました。これまでの噂が確信に変わった瞬間で、待望の6速MTを搭載した「WRX STI Sport#」の全貌が明らかになったのです。価格は610万5,000円と発表され、現行型のS4の中では最も高価な部類に入りますが、それだけの価値を詰め込んだ内容になっています。
正直なところ、このタイミングでMT車を追加してくるとは予想していませんでした。スバルが日本のファンの熱い要望にしっかりと応えてくれた形になり、メーカーの意地のようなものを感じます。発表当日からすでに問い合わせが相次いでいるようで、ショールームにはカタログを求める人たちが詰めかけているという話も耳にしました。
これまでCVTの「スバル・パフォーマンス・トランスミッション」も高い評価を得てきましたが、やはりSTIの名を冠する特別なモデルにはMTがよく似合います。単にギアボックスを載せ替えただけでなく、車体全体をMTの特性に合わせて磨き上げているのが今回の大きな特徴です。発表された数値以上に、走りの質感にこだわった仕上がりになっています。
抽選エントリーは5月15日まで店舗で受付
今回の限定車を手に入れるためには、まずお近くのスバル販売店に足を運んで抽選に申し込むことになります。受付期間は2026年4月9日から5月15日までとなっており、一ヶ月強の猶予がありますが、忘れないうちに早めに動くのが良いでしょう。申し込みはインターネットではなく、必ず店舗での対面で行うのが決まりとなっています。
私が調べていて意外だったのは、申し込みの段階で「特定の店舗に紐付けられる」という点です。後から他県のお店で買いたいと思っても変更が難しいため、メンテナンスを含めて長く付き合えるお店を選ぶのがコツと言えます。5月15日の締め切り後、5月20日に一斉抽選が行われ、当選した人にだけ担当者から連絡が入る仕組みになっています。
当選した後の手続きもスピード感が求められます。連絡を受けてから一週間以内には成約の手続きを進めるのが一般的で、これを逃すと次の方に権利が回ってしまうことも珍しくありません。高額な買い物ですから、抽選に申し込む時点で資金の工面や家族の承諾は済ませておいたほうがスムーズに話が進みます。
600台限定で当選倍率はかなり高くなる
用意された台数は、全国でわずか600台という非常に狭き門です。前回のCVT版STI Sport#が500台限定だったことを考えると、少しだけ増えてはいますが、今回は「待望のMT」という強力な武器があります。スバルファンの母数を考えれば、申し込みが殺到して抽選倍率が10倍を超える可能性も十分に考えられるでしょう。
これまでの限定車の傾向を見ていると、発表から数日で申し込みが定員の数倍に達することも少なくありません。特に今回はVBH型として初のMTという記念碑的なモデルですから、手放す時のリセール価値を期待して申し込む層も一定数いるはずです。純粋に走りたい人と、資産価値を見込む人が入り混じった激しい争奪戦になりそうです。
もし外れてしまった場合でも、キャンセル待ちの枠がわずかに残ることはありますが、過度な期待は禁物です。どうしても欲しい方は、抽選結果が出た直後に中古車市場に流れてくる新古車を狙うことになりますが、その場合はプレミア価格が乗ることを覚悟しなければなりません。運を天引きするつもりで、まずは期限内にエントリーを済ませることが第一歩です。
国内初!待望の6速MTがついに復活
現行のWRX S4が登場してから、多くの人が「なぜMTがないのか」と嘆いてきました。その不満を打ち消すように、今回のSTI Sport#では国内仕様として初めて6速マニュアルが搭載されました。ただギアを選べるようになっただけではない、STI流の深いこだわりが細部に宿っています。
海外仕様のパーツを使い日本初のMT化
今回のMT化を可能にしたのは、北米などで販売されていた左ハンドル仕様のWRXに存在したMTモデルの知見です。これまで日本向けには、アイサイトの兼ね合いや販売予測からMTの導入は見送られてきましたが、開発チームは裏側で着々と準備を進めていたのでしょう。北米向けの強靭なギヤボックスを右ハンドル仕様に最適化し、ついに日本での発売に漕ぎ着けました。
私自身、スバルが今の時代にわざわざ国内向けのMTを新開発するとは思っていませんでした。既存の資産をうまく使いながら、日本の厳しい騒音規制や排ガス規制に合わせて調律し直した努力には頭が下がります。操作感もこれまでのスバル車らしい、手応えのあるカチッとしたシフトフィールが継承されており、左手から伝わる鼓動が走りの楽しさを呼び覚ましてくれます。
これまでのスバル・パフォーマンス・トランスミッションも変速スピードが速くて優秀でしたが、やはり自分で回転数を合わせてクラッチを繋ぐ感覚は別格です。信号待ちからの発進や、高速道路の合流でギアを落とし込む瞬間の心地よさは、マニュアル車でしか味わえません。効率よりも情緒を優先したこの選択が、多くのファンの心を揺さぶっています。
回転バランスを極めたバランスドエンジン
今回のSTI Sport#が特別なのは、トランスミッションだけではありません。心臓部である2.4Lターボエンジンには、熟練の職人が手間暇をかけて精度を高めた「バランスドエンジン」が採用されています。これはピストンやコンロッド、クランクシャフトといった回転部品の重量誤差を極限まで減らしたもので、通常の量産エンジンとは別次元の回転精度を誇ります。
実際に回してみると、アイドリングの時点から微細な振動が抑えられているのが手足を通じて伝わってきます。アクセルを踏み込んだ時の吹け上がりがとにかく滑らかで、まるでシルクの上を走っているかのような雑味のなさを感じました。数値上の最高出力は275馬力のままですが、そこに至るまでの回転の質が全く違うため、体感的にはよりパワフルで軽快に感じられます。
意外だったのは、このバランスドエンジンがもたらす恩恵が「静かさ」にも繋がっていることです。無駄な摩擦や揺れが削ぎ落とされたことで、高回転まで回しても耳に障るノイズが出にくくなっています。走りの性能を追い求めるだけでなく、大人のスポーツセダンとしての品格を高めるための一手間として、このエンジンチューニングは非常に大きな意味を持っています。
MT車でも最新のアイサイトが安全を支える
これまでMT車にアイサイトを載せるのは難しいと言われてきましたが、最新の技術によってその壁も取り払われました。今回のモデルには、MT車専用に開発されたアイサイトが標準で装備されています。衝突被害軽減ブレーキはもちろん、前の車についていく追従走行機能もしっかりと備わっており、長距離の移動でもドライバーの疲れを大きく減らしてくれます。
マニュアル車でアイサイトを使う感覚は新鮮です。追従走行中に前の車が減速すれば、こちらの車もブレーキをかけてくれますし、シフトダウンが必要な速度になればメーターの表示で教えてくれます。ハイテクな安全装置と、アナログな操作感の融合は、今の時代のスポーツカーが目指すべき一つの理想の姿と言えるのではないでしょうか。
正直なところ、MT車にアイサイトはいらないと考えていた時期もありましたが、万が一の時の保険があるという安心感は代えがたいものです。うっかりミスを防いでくれる目があるからこそ、安心してワインディングロードでの走りに集中できるという側面もあります。走りと安全を両立させるという、スバルの真面目な姿勢がここにも表れています。
自動ブレーキは付くが停止保持はできない
MT版のアイサイトについて知っておくべきは、CVT車と全く同じ挙動ではないという点です。最も大きな違いは、追従走行で前の車が止まった時の動きにあります。MT車の場合、止まる直前でドライバーが自分でクラッチを切る必要がありますし、止まった後にブレーキを保持し続ける機能もありません。
足でブレーキを踏み続けたり、サイドブレーキを引いたりといった、これまでのマニュアル車と同じ操作が必要です。再発進も自分で行うため、渋滞時の完全な「お任せ走行」は期待できません。これを「手間」と取るか「操作の楽しみ」と取るかで評価は分かれますが、個人的には車を操っている実感が削がれない程度の程よいアシストだと感じています。
それでも、衝突を回避するための自動ブレーキはしっかりと作動しますから、安全性においては大きな譲歩はありません。ハイテクを使いこなしながら、肝心なところは自分の手足に委ねるという絶妙なバランスが、この車のキャラクターをよく表しています。便利な機能に甘えすぎず、対話するように車を走らせたい人にとって、この制約はむしろ好都合かもしれません。
先代VABや2024年モデルとの違いは?
以前のモデルであるVAB型や、直近の2024年モデルのCVT車と比べて、今回のSTI Sport#は何が変わったのでしょうか。見た目以上に中身の進化が著しく、実際に乗ってみるとその違いに驚かされることになります。それぞれの世代が持つ個性を踏まえながら、最新型の立ち位置を詳しく見ていきましょう。
S4ベースのCVT車よりダイレクトな操作感
これまでの現行型S4(VBH型)は、CVTによるスムーズで洗練された走りが売りでしたが、今回のMT仕様はそれとは対照的なダイレクト感を持っています。アクセルを強く踏んだ瞬間、エンジンからタイヤまでが一本の棒でつながったかのように力が伝わる感覚は、マニュアル車ならではの特権です。CVT特有の「回転だけ先に上がる違和感」が一切ありません。
実際のところ、加速の鋭さ自体はCVTの方が優れている場面もあります。コンピューターが最適な変速を行うCVTに対して、人間はクラッチ操作でわずかなロスが出るからです。しかし、コーナーの手前でブリッピングをしてギアを落とし、思い通りのエンジンブレーキを効かせながら曲がっていく楽しさは、MTでなければ決して味わえないものです。
意外なのは、MTになったことで車体全体の剛性感まで上がったように感じられることです。パワートレインががっしりと固定されているような感覚があり、ハンドルを切った時の車の反応がより正確になったように思えます。CVT版のS4が「万能なスポーツセダン」なら、今回のSTI Sport#は「ドライバーの意思を鏡のように映し出すマシン」へと変貌を遂げました。
先代よりボディ剛性が上がり乗り心地が向上
先代のVAB型は、ゴツゴツとした硬い乗り心地が特徴の「硬派なスポーツカー」でした。対して今回の最新型は、スバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)の恩恵をフルに受けており、車体の土台そのものが圧倒的に強くなっています。そのおかげで、サスペンションが本来の仕事をしっかりとこなせるようになり、不快な突き上げが劇的に減りました。
路面の凹凸をしなやかにいなす感覚は、先代ではなかなか味わえなかった領域です。ただ柔らかいのではなく、大きな段差を越えた後の揺れの収まりが非常に速く、フラットな姿勢を保ち続けてくれます。これなら長距離のドライブでも腰が痛くなりにくいですし、助手席に乗る家族から不満が出ることも少なくなるでしょう。
スバルが目指した「大人のスポーツ」という方向性が、この乗り心地に集約されている気がします。速さを求めて車体をガチガチに固める時代は終わり、しなやかさの中に芯の強さを共存させる。先代のような荒々しさを懐かしむ声もありますが、一度この洗練された接地感を味わってしまうと、もう元には戻れないほどの進化を感じます。
2.4Lターボは低速からのトルクが力強い
エンジンの排気量が先代の2.0Lから2.4Lへと拡大されたことで、走りの余裕が格段に増しました。数値以上に恩恵を感じるのが、街中でよく使う低回転域の力強さです。アクセルをほんの少し踏み増すだけで、巨体を軽々と前へ押し出すトルクが湧き上がってきます。渋滞路や登り坂でもギアを頻繁に落とす必要がなく、ずぼらな運転すら許容してくれる懐の深さがあります。
これまでのスバル車は、ターボが効き始めるまでのモタつきを感じることもありましたが、このエンジンは自然吸気エンジンのような素直な反応を見せてくれます。高回転まで回した時の突き抜けるような快感も健在で、2,000回転からレッドゾーン手前まで、どこからでも加速していけるフレキシビリティが魅力です。
正直なところ、燃費の面では2.4Lという排気量は不利に働くこともありますが、それと引き換えに得られる心のゆとりは大きいです。追い越しをかける際も、シフトダウンを一段飛ばして余裕でこなせるパワーの厚みは、この大排気量ターボならではの持ち味と言えます。常用域での使い勝手を向上させつつ、いざという時の瞬発力を隠し持っている。まさに「羊の皮を被った狼」という言葉がぴったりです。
歴代STIとは「速さ」の質が根本的に違う
これまでのSTIモデルは、サーキットのラップタイムを1秒でも縮めるための「絶対的な速さ」を追求してきました。しかし今回のSTI Sport#は、公道を気持ちよく駆け抜けるための「質感の高い速さ」へと舵を切っています。ハンドルから伝わる手応えの重厚さや、アクセルに対する反応の繊細さといった、ドライバーの五感に訴えかける仕上がりが重視されています。
かつてのSTIが「戦う道具」だったのに対し、最新型は「人生を豊かにする相棒」のような雰囲気を持っています。ただ速いだけでなく、その速さをいかに心地よく手なずけるか。そこに開発陣の情熱が注がれているのが、実際にステアリングを握ってみるとよくわかります。荒削りな速さを削ぎ落とし、研ぎ澄まされた精度だけを残したような感覚です。
実際の乗り味を確かめてみると、数値だけでは測れない「走りの密度」のようなものを感じました。一つ一つの部品が正確に組み合わさり、何の淀みもなく車が動いていく。この感覚こそが、歴代のどのモデルとも違う、今のスバルが提示する最高峰の走りなのでしょう。昔ながらのSTIファンも、一度乗ればこの新しい価値観に納得するはずです。
限定600台だけに許された専用装備とは?
「STI Sport#」という名称の末尾に付くシャープ記号は、さらなる磨き上げを意味しています。今回の600台には、標準モデルにはオプションですら用意されない特別なパーツが惜しみなく投入されました。見た目の華やかさだけでなく、機能に裏打ちされた装備の内容を紐解いてみましょう。
1.ゴールドのブレンボと19インチホイール
足元を彩るのは、STIの象徴とも言えるゴールド塗装が施されたbrembo製4ポッド対向ブレーキキャリパーです。見た目のインパクトもさることながら、その制動力とコントロール性は折り紙付きです。サーキットのような過酷な状況でも音を上げず、踏力に応じた忠実な減速を約束してくれます。
キャリパーの奥に構えるのは、専用のマットグレー塗装を施された19インチアルミホイールです。今回のモデルのために特別に用意されたもので、足元をぐっと引き締める効果があります。組み合わせるタイヤはミシュランのパイロットスポーツ5で、路面に吸い付くような高いグリップ性能と、ウェット路面での安心感を兼ね備えています。
| 装備項目 | STI Sport# 専用内容 | 期待できる効果 |
| ブレーキ | brembo製ゴールド塗装 | 制動力の向上とフェード耐性 |
| ホイール | 19インチマットグレー | 軽量化とスタイリングの引き締め |
| タイヤ | ミシュラン・パイロットスポーツ5 | グリップ力と静粛性の両立 |
正直なところ、このブレーキとタイヤの組み合わせだけでも数十万円の価値があります。自分で後から揃えるとなると大変な手間と費用がかかりますが、最初から完璧なセッティングで組まれているのは限定車ならではの贅沢と言えるでしょう。ゴールドの差し色は、スバルのスポーツカーに乗っているという満足感を最大限に高めてくれます。
2.走りと快適さを両立するZF製ダンパー
サスペンションには、世界的な名門であるZF製の電子制御ダンパーが採用されています。車内のスイッチ一つで、コンフォートからスポーツプラスまで乗り味を瞬時に変えられるこのシステムは、まさに魔法の杖のような存在です。普段は家族も満足するしなやかな乗り心地を提供し、いざ峠道に入れば引き締まったスポーツカーの動きへと変身します。
STIがこのダンパーに施した独自のチューニングが絶妙です。標準のS4よりもさらに微低速域での減衰をきめ細かく制御しており、ハンドルの切り始めの反応がよりシャープになっています。車がグラッと傾くのを最小限に抑えつつ、タイヤの接地感をしっかりとドライバーに伝えるそのさじ加減は、長年レースで培ったSTIのノウハウが凝縮されています。
意外だったのは、この電子制御ダンパーが荒れた路面での「いなし」に非常に長けていることです。硬い足回りにありがちな、跳ねるような挙動がうまく消されており、どんな路面状況でもフラットな姿勢を保とうとしてくれます。速く走るための装備が、結果として乗り心地の良さにもつながっている。この矛盾を両立させたところに、最新のSTIの凄みがあります。
3.専用レカロシートと銀色のステッチ
インテリアに目を向けると、まず目に飛び込んでくるのが専用のRecaroフロントシートです。ウルトラスエードと合成皮革を組み合わせたこのシートは、体を面でしっかりと支えてくれるため、長時間の運転でも疲れにくいのが特徴です。激しい横Gがかかるような場面でも、体が左右に揺さぶられないため、正確なペダル操作とステアリング操作に専念できます。
車内全体のカラーコーディネートも大人っぽくまとめられています。あえて派手な赤ではなく、落ち着いたシルバーのステッチが各所に配されており、夜間のドライブではしっとりとした高級感を演出してくれます。センターコンソールやドアトリムにもウルトラスエードが使われており、手に触れる部分の質感が非常に高いのも好印象です。
実際の使い勝手を考えても、この内装は非常によく練られています。スエード素材は滑りにくいため実用性が高く、それでいて見た目には上質な雰囲気が漂います。派手すぎず、かといって地味すぎない。大人の男性が普段使いするのにふさわしい、洗練された空間に仕上がっています。限定車であることを主張しすぎない、さりげない特別感が所有欲を満たしてくれます。
610万円の価格に見合う価値はある?
新型WRX STI Sport#の価格は、610万5,000円。普通の乗用車として考えれば決して安くはありませんが、その中身を冷静に分析してみると、むしろ「お得」と言えるだけの理由が見えてきます。単なる移動手段としての価値を超えた、この車が持つ本当のコストパフォーマンスについて考えてみました。
専用パーツを後付けするより圧倒的に安い
もし標準モデルのS4を購入して、今回のSTI Sport#と同じ装備を後から追加しようと思ったら、間違いなく610万円では収まりません。例えば、bremboのブレーキキットだけでも数十万円かかりますし、BBS製などの軽量ホイールやミシュランの最新タイヤを揃えればさらに上乗せされます。さらに、電子制御ダンパーの専用チューニングや内装の張り替えまで含めると、総額は軽く700万円を超えてしまうでしょう。
メーカーが工場で一台ずつ丁寧に組み立てるからこそ実現できるこの価格設定は、ある意味でバーゲンセールに近いものがあります。STIのエンジニアが一つ一つの部品を吟味し、車体とのマッチングを煮詰めた完成されたパッケージが、そのまま手に入るメリットは計り知れません。素人が後付けでバランスを崩す心配もなく、最初から最高の状態で乗り出せるのは大きな魅力です。
正直なところ、この内容を自分で構築しようとすれば、金銭的なコストだけでなく、膨大な時間と手間が必要になります。それらをすべてプロに任せ、かつ保証まで付いた新車として買えるのですから、価値を理解している人にとっては納得のいく金額のはずです。目に見えるパーツだけでなく、目に見えない剛性パーツやエンジンのバランス取りといった部分にこそ、価格以上の価値が隠されています。
将来のリセールは歴代屈指の高さになる
限定600台という希少性に加え、「現行型初のMT」という特別な肩書きを持つこのモデルは、将来的な価値が非常に下がりにくいと予想されます。これまでの歴代スバルの限定車を見ても、数年経っても新車価格に近い金額で取引されることは珍しくありません。特にMTモデルは世界的に絶滅危惧種となっており、マニアの間では喉から手が出るほど欲しい一台になるのは間違いありません。
実際に中古車市場を見てみると、数世代前のSTIモデルですら当時の新車価格を上回るプレミア価格がついている例が多々あります。今回のSTI Sport#も、数年後に手放すことになったとしても、他の一般的なセダンに比べて圧倒的に高い査定額が期待できます。初期投資こそ大きいですが、最終的な「持ち出し費用」を考えれば、実はかなり賢い選択になる可能性が高いのです。
意外なのは、これまで中古車に興味がなかった層までが、投資的な視点でこの車に注目していることです。もちろん投資目的だけでなく、純粋に楽しむために乗るのが一番ですが、万が一の時に高く売れるという安心感は心強いものです。車を買い換える際の下取り価格が安定していれば、次の車への乗り換えもスムーズに進みます。まさに「買って損をしない」スポーツカーの筆頭候補と言えるでしょう。
限定カラーは手放す時の査定額も期待できる
今回のSTI Sport#には、WRブルーのような定番色以外にも、限定車専用のカラーが用意されています。これまでの傾向では、その時だけの特別色が後のオークションなどで高値をつけるケースが多く、カラー選びも資産価値を左右する重要なポイントになります。サンライズイエローのような鮮やかな色や、落ち着いたマットカラーなど、限定車ならではの選択肢が揃っています。
もちろん自分の好きな色を選ぶのが一番ですが、リセールを意識するなら限定色の動向もチェックしておいて損はありません。標準モデルにはない色を纏っているだけで、街中での注目度も変わりますし、所有する喜びもひとしおです。光の当たり方で表情を変える上質な塗装は、STIのこだわりが感じられる部分でもあります。
正直なところ、どの色を選んでもこの車の価値が大きく暴落することはないでしょう。しかし、特定のカラーに人気が集中した場合、数年後に中古車として並ぶ際に「この色だから欲しい」という指名買いが入ることがあります。色一つで数十万円の差が出ることもあるのが、限定車の面白いところでもあります。自分自身の好みと、将来の価値のバランスを楽しみながら悩むのも、この車を買う時の醍醐味です。
維持費にはハイオク代と高額なタイヤ代が必須
購入後の維持費についても、現実的に見ておく必要があります。2.4Lのハイパワーターボエンジンを搭載しているため、使用する燃料はもちろんハイオクガソリンです。燃費はリッター10キロを下回ることも珍しくなく、週末のロングドライブやスポーツ走行を頻繁に楽しむなら、ガソリン代はそれなりにかさんできます。これはハイパフォーマンスカーに乗る上で避けて通れない税金のようなものです。
また、タイヤ代についても覚悟が必要です。19インチの大径タイヤ、しかもミシュランのパイロットスポーツ5という高性能品を履いているため、4本交換しようとすれば工賃込みで15万円から20万円程度の出費になります。ハイグリップタイヤゆえに減りもそれなりに早いため、数年ごとの大きな出費として予算に組み込んでおかなければなりません。
| 維持費の目安 | 項目ごとの特徴 | 注意点 |
| 燃料 | ハイオク専用 | 燃費はリッター8〜11km程度 |
| タイヤ | 19インチ高性能品 | 1回交換で15〜20万円 |
| 自動車税 | 2.4L区分(43,500円) | 2019年以降の登録税率 |
| 保険料 | 料率クラスは高め | 盗難対策も含めた車両保険 |
こうした維持費の面だけを見れば、決して家計に優しい車とは言えません。しかし、その分だけ得られる興奮や、移動そのものがエンターテインメントに変わる体験は、普通の乗用車では得られないものです。多少の手間とお金がかかるからこそ、愛着も湧くというもの。維持費を「走りの対価」として笑って許せるだけの度量が、この車のオーナーには求められます。
購入前に解決しておきたい3つのこと
いざ購入を検討し始めると、細かい仕様や手続き上の不安が次々と浮かんできます。特に今回のモデルはMT車特有の悩みや、限定車ならではのルールがあるため、事前に疑問を解消しておくことが大切です。よくある質問の中から、特に重要な3つのポイントについて詳しくお答えします。
MT車でもアイサイトの全機能が使える?
前述の通り、MT車にもアイサイトは搭載されていますが、機能には一部制限があります。最も大きな違いは、前の車についていくアダプティブクルーズコントロールにおいて、停止までサポートされない点です。時速25キロ以下になると警報とともに解除されるため、渋滞での完全停止はドライバー自身がクラッチとブレーキを操作する必要があります。
また、誤発進抑制機能についても、MT車はアクセルとブレーキの踏み間違いが構造上起こりにくいため、CVT車とは制御の入り方が異なります。それでも、プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)や車線逸脱抑制といった、事故を未然に防ぐための基本的な安全機能はしっかりと備わっています。安全性を重視する方にとっても、十分に納得できる内容です。
正直なところ、MT車のアイサイトは「安全のバックアップ」として捉えるのが正解です。すべての操作を車に任せるのではなく、ドライバーが主体となって運転し、どうしても避けられないミスをシステムがカバーしてくれる。この距離感が、マニュアル車を好む人たちの感性に合っているように思えます。過信しすぎず、賢く最新技術を活用する姿勢が大切です。
申し込みに手付金や内金は必要?
抽選販売の申し込み時点では、基本的に手付金などは必要ありません。まずは販売店でエントリーシートに記入するだけで大丈夫です。ただし、当選した後の契約時には、正式な注文書を交わすと同時に「内金」として数万円から数十万円を支払うのが一般的な流れとなります。この金額は店舗によって異なりますが、車両価格の1割程度を目安に考えておくと安心です。
注意が必要なのは、当選後にキャンセルする場合です。契約を交わす前であれば金銭的なペナルティはありませんが、当選した権利を他人に譲渡することはできません。また、一度キャンセルしてしまうと、その後の限定車販売で心理的に申し込みにくくなることもあるかもしれません。冷やかしではなく、本当に買う意思があることを示してエントリーするのがマナーです。
意外なのは、抽選倍率が高いからといって「複数のお店で申し込む」ことが禁止されているケースが多い点です。スバルの本部で顧客情報を一元管理しているため、重複申し込みが発覚すると失格になる恐れがあります。信じて一本に絞り、運を天に任せるのが最善の方法です。資金計画を含め、いつでもハンコを押せる準備を整えてから臨みましょう。
今後の通常モデルでMTが出る可能性は?
多くのファンが期待している「通常モデルへのMT導入」ですが、現時点では非常に可能性が低いと言わざるを得ません。今回のSTI Sport#は、あくまで限定車として、特別なパーツや生産ラインを使って世に送り出されるものです。アイサイトの適合や型式認定の手間を考えると、少量生産の限定車だからこそ実現できたという側面が強いからです。
もし通常モデルでMTが出るのであれば、最初からラインナップに加わっているはずです。メーカーとしても、年々厳しくなる燃費規制や騒音規制の中で、MT車を継続して販売し続けるのは相当な負担になります。今回の600台は、スバルがファンへの恩返しとして特別に用意した「最後のプレゼント」のような存在かもしれません。
「また次があるだろう」と様子を見ていると、二度と手に入らないチャンスを逃すことになりかねません。実際、これまでのSTI限定車でも、後から通常モデルに同じ仕様が降りてくることはありませんでした。この先、電動化が加速していけば、純粋な内燃機関とMTの組み合わせはさらに貴重になります。今の自分に手が届くなら、迷わず飛び込むべきタイミングだと言えるでしょう。
まとめ:WRX STI Sport#は走りの質感と資産価値を兼ね備えた一台
今回の新型WRX STI Sport#を調べてみて、スバルがこの一台に込めた熱意の凄まじさを改めて実感しました。待望の6速MTの復活、回転バランスを極めたエンジン、そしてしなやかな足を支える電子制御ダンパーなど、すべてが高い次元で調和しています。単なる限定車という枠を超えて、スバルの走りの哲学を具現化した究極の完成型と言っても過言ではありません。
610万円という価格は決して安くありませんが、将来のリセール価値の高さや、後付け不可能な専用装備の内容を考えれば、むしろ賢明な買い物だと言えます。600台という限られた枠を勝ち取るのは容易ではありませんが、手に入れることができれば、これから先の数年間、ガレージにこの車があるだけで人生の質が一段階上がるような喜びを味わえるはずです。
もし購入を迷っているのなら、まずは販売店に足を運び、自分の目でカタログを眺めてみることから始めてみてください。抽選に申し込まなければ、手に入る確率はゼロのままです。今の時代に、これほどまでにドライバーの感性に寄り添った車が世に出ることは、まさに奇跡に近い出来事なのですから。悔いのない選択をされることを願っています。


